Excelの散布図の利用

1.Excelの散布図を利用する方法について

takeの極限遅延接近のtake様から、Excelの散布図を利用する方法があると教えていただき、また、その方法は計算尺推進委員会で公開しているさまざまな計算尺の作成方法の欠点を見事に解消したすばらしいものであったため、紹介させていただきます。

take様のExcelの散布図を利用する方法のExcelファイルはexcel実験室で公開されています。

2.Excelの散布図

ここでは、Excelの散布図を利用して計算尺の作成をすることができる、その核心部分を見てみたいと思います。

まず、Excelを使って簡単な散布図を描いてみましょう。以下ではExcel 2003を利用しますが、ほかのバージョン・ほかの表計算ソフトでも同様のことができると思います。

まず、Excelを起動して、次のような表を作成してください。表に入力数字は適当で構いませんが、このようにA3, B3, A6, B6, …が空白になるようにしてください。

そして、「挿入」メニュー→「グラフ」を選択し、現れた「グラフウィザード」の「グラフの種類」で「散布図」を選択、「形式」では一番右下の「データポイントを折れ線でつないだマーカーなしの散布図です。」を選択して、「次へ」をクリックします。

続いて、「系列」タブを選択し、「系列(S)」の項目に「系列1」などのものがあれば、「系列1」などを選択して「削除」をクリックしてすべて削除します。

全ての系列を削除したら、「追加(A)」をクリックします。「Xの値(X):」の右横のテキストボックスをクリックして、カーソル線をテキストボックスに移します。そのまま、先ほど入力した表のA1からA8の位置をドラッグすると、このテキストボックスに「=Sheet1!$A$1:$A$8」と自動的に入力されます。

「Yの値(Y):」に入力されている文字を削除してから、「Yの値(Y):」にカーソル線を移したまま先ほどと同様の方法でB1からB8をドラッグすると、「=Sheet1!$B$1:$B$8」と自動的に入力されます。

そして、「次へ」→「次へ」→「完了」をクリックすると、次のようなグラフが挿入されます。

このグラフの前の表との対応を見てみましょう。もう一度基となった表を掲載します。

よく見比べてみると、(A1, B1)という点つまり(1, 1.5)と、(A2, B2)という点つまり(2, 2.5)の2点を直線で結んだものがグラフ1になっています。

同様に、(A4, B4)-(A5, B5)がグラフ2、(A7, B7)-(A8, B8)がグラフ3になっています。

このように、直線で結びたい2点間を先ほどの表のように一覧表で作成しておけば、Excelの散布図を利用してそれらの2点間を結ぶそれぞれの直線を描くことができるのです。

3.Excelの散布図を利用する方法

計算尺の尺は、多くの直線の集まりなので、この方法で計算尺を作成することができそうです。上記のtake様のページからダウンロードできるExcelファイルは、今まで述べたExcelの機能を利用して実際に計算尺を作成しようというものです。

具体的な利用方法は割愛させていただきますが、2005/11/05のバージョンでは、A列B列で計算尺の枠を、淡い緑色の列で尺の目盛りを作成しています。たとえば、E列とF列でD尺を、E列とG列でC尺を作成します。

4.Excelの散布図を利用する方法の長所

計算尺推進委員会では、さまざまな計算尺の作成方法を紹介していますが、いくつか欠点があります。たとえば、GIFファイルなどのイメージを利用して計算尺を作成する方法では、イメージの横幅が決められていることから目盛りの精度を求めることが難しくなります。また、PDFを利用する方法は、尺の長さを1mm以内の精度で決めることができ、目盛りを正確に印刷することができるなどの長所がありますが、その作成方法は(公開していませんが)、TeXファイルを作成するプログラムを作成して、DVIファイルを経由し、PDFにするという方法で作成しており、数学・科学と無縁の方々が計算尺の作成方法としてご利用していただくには大変不自由なものです。

一方、take様の「Excelの散布図を利用する方法」は、Excelという多くの環境で利用可能なソフトを利用している上、Excelのグラフはピクセル単位で作成されるものではないので、きれいに印刷することができるなどの長所があります。実際、take様のファイルを利用して印刷した目盛りの幅をよく見てみると、きれいに対数に並んでいることが分かります。

take様も仰っていましたが、やはり計算尺のような機械的な絵を描くにはCADやPSが望ましいですが、Excelの散布図を利用する方法はそれなりの出来栄えが期待でき、CADやPSの簡易版として十分役立つ方法だと思います。