たとえば、次のような直角三角形を考えてみましょう。
直角三角形ですから、C = 90度であることはあらかじめわかります。それでは、次のように、一部の角の大きさや辺の長さが分かっていて、残りが分からないという場合を考えてみましょう。
このとき、残りの角の大きさや、辺の長さを求めることを「直角三角形の解法」といいます。
それでは実際に直角三角形の解法をしてみましょう。ここでは、具体的に次のような直角三角形を考え、分かっていない残りのB, a, bを求めたいと思います。
まずは、角度Bは簡単に求まります。三角形の内角の和は180度ですから、「C = 180 - A - B = 180 - 35 - 90 = 55」より、角Cの大きさは55度だと分かります。
次に、aとbを求めてみましょう。三角関数の定義から、「a = c sin A = 7×sin35°」、「b = c cos A = 7×cos35°」だと分かりますので、これを計算尺を利用して計算してみましょう。
a = 7×sin35°を計算尺で計算してみましょう。D尺対応滑尺表型、つまり、三角関数尺がD尺に対応しており、両面計算尺で、滑尺に三角関数尺がある計算尺での計算が最も簡単ですので、ここではこれを利用します。
まず、D尺の7に、S尺の右側の基線をあわせてください。右側の基線とは、尺の一番右側の目盛り線のことで、C尺やD尺では10, S尺の場合は90と目盛の書かれた線です。
次に、カーソル線をS尺の35にあわせてください。
そして、D尺の目盛を読むと、答えの4.02を読むことができます。
計算を始める前に、計算尺におけるcosの扱いについてもう一度みてみましょう。三角関数の値(1)で紹介したように、計算尺のS尺には、sinの角度を表す黒の数字と、cosの角度を表す赤の数字の2つの数字があります。sinの計算をするときには、S尺の黒い目盛を、cosの計算をするときにはS尺の赤い目盛を利用して計算を行います。
それでは、b = 7×cos35°を計算尺で計算してみましょう。
まず、D尺の7に、S尺の右側の基線をあわせてください。先ほどから滑尺を動かしていないので、すでにあっていると思います。
赤い目盛に注目すると次のとおりです。
次に、カーソル線をS尺の赤字で書かれた35にあわせてください。
そして、D尺の目盛を読むと、答えの5.73を読むことができます。
以上から、三角形の各辺の長さや角の大きさがすべて分かりました。