計算尺のいろは

1.計算尺のいろは

このページでは、計算尺を手にする前にぜひ知っておきたい、計算尺の最も基本的な部分を簡単に紹介します。これは、「計算尺とは」から「計算尺の入手方法」の前までで紹介している部分に対応しています。より具体的な計算尺の紹介は「計算尺とは」からの「計算尺の使い方」をご覧ください。

2.計算尺とは

計算尺の写真を掲載します。これはHemmi(ヘンミ)計算尺のNO.254WNという型です。計算尺には尺がたくさんあります。

計算尺は、さまざまな計算をするのに利用されます。掛け算・割り算をはじめ、2乗や平方根、三角関数、指数対数などの計算をすることができます。

計算尺では、一部例外もありますが、主に有効数字3桁で計算を行います。数学の世界では、1.23×3.45=4.2435ですが、技術計算では末尾の5や、その前の3は信用することができません。なぜなら、x=1.23というのは1.225≦x<1.235をあらわし、y=3.45は3.445≦x<3.455を意味するので、結局4.220125≦xy<4.266925となるからです。3桁目は完全に信用することはできませんが、ある程度の精度で信用することができます。

3.計算尺の種類

3.1.形状

普通計算尺といえば上にあげたような直線の計算尺を思い浮かべる人が多いと思います。それ以外にも、円形の計算尺もあります。

3.2.計算尺の大きさ

さまざまなサイズの計算尺がありますが、直線の計算尺では尺の長さが25cmのものが一般的で、その半分のものが携帯用、2倍のものが精密用という考えが一般的です。

3.3.計算尺のメーカー

計算尺のメーカーもたくさんありますが、現在比較的入手が容易なのは、Hemmi(ヘンミ)計算尺とコンサイスでしょう。前者は直線計算尺を、後者は円形計算尺を作成しています。前者はすでに生産を終了していますが、後者では現在でも計算尺を作成しています。

4.尺の種類

4.1.D尺、C尺、CI尺

計算尺の中で基本的な尺で、掛け算・割り算に利用されます。そのほかの尺と合わせても利用されます。

4.2.DF尺、CF尺、CIF尺

それぞれD尺、C尺、CI尺をずらした位置においている尺です。これらがなくても計算に障害はありませんが、これらの尺を利用すると計算時間を少し短縮することができます。

4.3.A尺、B尺、K尺

A尺・B尺は2乗・平方根の計算に利用し、K尺は3乗・立方根の計算に利用されます。

4.4.S尺、SI尺、T尺、TI尺、T1尺、ST尺など

三角関数の計算に利用されます。

4.5.L尺、LL尺

L尺は10を底とした指数・対数の計算に、LL尺は任意の数を底とした指数・対数の計算に利用されます。